6.日本の防衛の在り方に関する意識
(1) 日米安全保障条約についての考え方
日本は現在,アメリカと安全保障条約を結んでいるが,この日米安全保障条約は日本の平和と安全に役立っていると思うか聞いたところ,「役立っている」とする者の割合が82.9%(「役立っている」38.5%+「どちらかといえば役立っている」44.4%),「役立っていない」とする者の割合が11.5%(「どちらかといえば役立っていない」8.9%+「役立っていない」2.7%)となっている。
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,「役立っている」とする者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「役立っている」とする者の割合は20歳代で高くなっている。(図22,図23,表16-1(CSV形式:2KB),表16-2(CSV形式:1KB))
(2) 日本の安全を守るための方法
日本の安全を守るためにはどのような方法をとるべきだと思うか聞いたところ,「現状どおり日米の安全保障体制と自衛隊で日本の安全を守る」と答えた者の割合が84.6%,「日米安全保障条約をやめて,自衛隊だけで日本の安全を守る」と答えた者の割合が6.6%,「日米安全保障条約をやめて,自衛隊も縮小または廃止する」と答えた者の割合が2.6%となっている。
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,「現状どおり日米の安全保障体制と自衛隊で日本の安全を守る」と答えた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「現状どおり日米の安全保障体制と自衛隊で日本の安全を守る」と答えた者の割合は20歳代で高くなっている。(図24,表17-1(CSV形式:2KB),表17-2(CSV形式:1KB),表17参考(CSV形式:2KB))
(3) 日本が戦争に巻き込まれる危険性
現在の世界の情勢から考えて日本が戦争を仕掛けられたり戦争に巻込まれたりする危険があると思うか聞いたところ,「危険がある」とする者の割合が75.5%(「危険がある」28.3%+「どちらかといえば危険がある」47.2%),「危険はない」とする者の割合が19.8%(「どちらかといえば危険がない」16.0%+「危険はない」3.8%)となっている。
前回の調査結果と比較してみると,「危険がある」(72.3%→75.5%)とする者の割合が上昇している。
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,「危険がある」とする者の割合は男性で高くなっている。(図25,表18-1(CSV形式:2KB),表18-2(CSV形式:1KB),表18参考(CSV形式:1KB))
ア 日本が戦争に巻き込まれる危険があると思う理由
現在の世界の情勢から考えて日本が戦争を仕掛けられたり戦争に巻込まれたりする「危険がある」,「どちらかといえば危険がある」と答えた者(1,268人)に,どうしてそう思うのか聞いたところ,「国際的な緊張や対立があるから」を挙げた者の割合が82.6%と最も高く,以下,「国連の機能が不十分だから」(27.8%),「自衛力が不十分だから」(19.2%),「日米安全保障条約があるから」(12.9%)の順となっている。(複数回答)
前回の調査結果と比較してみると,「自衛力が不十分だから」(23.4%→19.2%)を挙げた者の割合が低下している。
都市規模別に見ると,「国際的な緊張や対立があるから」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると,「国際的な緊張や対立があるから」,「自衛力が不十分だから」を挙げた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「国際的な緊張や対立があるから」を挙げた者の割合は40歳代,50歳代で,「国連の機能が不十分だから」を挙げた者の割合は60歳代で,「日米安全保障条約があるから」を挙げた者の割合は20歳代で,それぞれ高くなっている。(図26,表19-1(CSV形式:2KB),表19-2(CSV形式:1KB),表19参考(CSV形式:2KB))
イ 日本が戦争に巻き込まれる危険がないと思う理由
現在の世界の情勢から考えて日本が戦争を仕掛けられたり戦争に巻込まれたりする「どちらかといえば危険がない」,「危険はない」と答えた者(332人)に,どうしてそう思うのか聞いたところ,「日米安全保障条約があるから」を挙げた者の割合が47.9%,「戦争放棄の憲法があるから」を挙げた者の割合が43.1%,「国連が平和への努力をしているから」を挙げた者の割合が34.3%などの順となっている。(複数回答,上位3項目)
前回の調査結果と比較してみると,「戦争放棄の憲法があるから」(34.5%→43.1%)を挙げた者の割合が上昇し,「国連が平和への努力をしているから」(49.4%→34.3%)を挙げた者の割合が低下している。
性別に見ると,「戦争放棄の憲法があるから」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。(図27,表20-1(CSV形式:2KB),表20-2(CSV形式:1KB),表20参考(CSV形式:2KB))
(4) 日本の平和と安全の面から関心を持っていること
日本の平和と安全の面から,関心を持っていることを聞いたところ,「中国の軍事力の近代化や海洋における活動」を挙げた者の割合が60.5%と最も高く,以下,「朝鮮半島情勢」(52.7%),「国際テロ組織の活動」(42.6%),「日本の周辺地域における米国の軍事態勢」(36.7%)などの順となっている。(複数回答,上位4項目)
前回の調査結果と比較してみると,「中国の軍事力の近代化や海洋における活動」(46.0%→60.5%),「国際テロ組織の活動」(30.3%→42.6%),「日本の周辺地域における米国の軍事態勢」(24.8%→36.7%)を挙げた者の割合が上昇し,「朝鮮半島情勢」(64.9%→52.7%)を挙げた者の割合が低下している。
都市規模別に見ると,「中国の軍事力の近代化や海洋における活動」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると,「中国の軍事力の近代化や海洋における活動」,「朝鮮半島情勢」,「国際テロ組織の活動」を挙げた者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「中国の軍事力の近代化や海洋における活動」を挙げた者の割合は50歳代,60歳代で,「朝鮮半島情勢」を挙げた者の割合は50歳代で,「国際テロ組織の活動」を挙げた者の割合は40歳代,50歳代で,それぞれ高くなっている。(図28,表21-1(CSV形式:4KB),表21-2(CSV形式:2KB),表21参考(CSV形式:2KB))
(5) 米国以外との防衛協力・交流を行うことについての意識
同盟国であるアメリカ以外の国とも防衛協力・交流を進展させることは,日本の平和と安全に役立っていると思うか聞いたところ,「役立っている」とする者の割合が82.3%(「役立っている」42.1%+「どちらかといえば役立っている」40.2%),「役立っていない」とする者の割合が9.7%(「どちらかといえば役立っていない」7.5%+「役立っていない」2.2%)となっている。
性別に見ると,「役立っている」とする者の割合は男性で高くなっている。
年齢別に見ると,「役立っている」とする者の割合は20歳代,30歳代,50歳代で高くなっている。(図29,表22-1(CSV形式:2KB),表22-2(CSV形式:1KB))
ア 役立っていると考える国・地域
同盟国であるアメリカ以外の国とも防衛協力・交流を進展させることは,日本の平和と安全に「役立っている」,「どちらかといえば役立っている」と答えた者(1,383人)に,特に,どの国や地域と防衛協力・交流を進展させることが日本の平和と安全にとり役に立つと思うか聞いたところ,「東南アジア諸国連合」を挙げた者の割合が49.0%と最も高く,以下,「韓国」(40.8%),「中国」(40.3%),「ヨーロッパ諸国(ロシアを除く,イギリス・フランスなどの主要国)」(36.9%)などの順となっている。(複数回答,上位4項目)
前回の調査結果と比較してみると,「韓国」(61.5%→40.8%),「中国」(61.7%→40.3%)を挙げた者の割合が低下し,「ヨーロッパ諸国(ロシアを除く,イギリス・フランスなどの主要国)」(27.3%→36.9%)を挙げた者の割合が上昇している。
都市規模別に見ると,大きな差異は見られない。
性別に見ると,「東南アジア諸国連合」を挙げた者の割合は男性で,「中国」を挙げた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「東南アジア諸国連合」を挙げた者の割合は60歳代で,「韓国」を挙げた者の割合は50歳代で,「ヨーロッパ諸国(ロシアを除く,イギリス・フランスなどの主要国)」を挙げた者の割合は20歳代,30歳代で,それぞれ高くなっている。(図30,表23-1(CSV形式:3KB),表23-2(CSV形式:1KB))